この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
今回のストーリーは、アメリカに実在したという殺人鬼一家がモデルとなっているようです。
ネタバレも含みますので、ご注意ください。
あらすじ、感想についてはたたんで最後に。
原題は「The Benders」で意味は「ベンダー一家」です。
この記事のもくじ
ミネソタの鉱業都市ヒビングへ
いつものように怪物退治のためにディーンとサムがやって来たのは、ミネソタ州のヒビング。
地図ではこの辺りです。
ミネソタ最大の鉱業都市であり、世界一の露天掘り鉄鋼床で有名です。
2016年にノーベル文学賞を受賞した歌手、ボブ・ディランが子供時代を過ごした街でもあります。
北米最大のバス事業会社、グレイハウンド・ラインズの創業地でしたが、今は移転して運行中の路線もありません。
鉄鋼脈の影響のせいで、この辺りの水には鉄分が多く、飲むと鉄っぽい味がするといいます。
アメリカの伝説的殺人一家
今回の主な敵は原題通り、ある一家です。
実はこのベンダー一家というのは、アメリカではよく知られた殺人一家なのです。
ベンダー一家の家族構成など
ベンダー一家は4人家族で、彼らが活動していたのは1870年代。
カンザス州で宿屋を営んでいました。
父のジョン・ベンダーにその妻エルヴィラ・ベンダー。
そして息子のジョン・ベンダー・ジュニア、その妹のケイト・ベンダー。
ジュニアとケイトは兄妹だという説と、夫婦だという説がありますが、かなり昔のことでもあるのではっきりしないようです。
エルヴィラは、それまでに夫を何人か殺したという噂がありました。
子供たちはエルヴィラの連れ子だったと言われています。
彼らはドイツからの移民だと言われていて、両親ともに英語はほとんど話せなかったそうです。
それでもジョンは英語を話すことがあったようですが、なまりがひどくほとんど通じなかったのだとか。
エルヴィラは近所の人とほとんど付き合いがなく、非友好的だったと言われています。
一方、子供たちは英語が話せたようで、ジュニアはドイツなまりがありながらも流暢に英語で話し、ケイトはほとんどなまりもなかったようです。
ジョンは60歳くらい、エルヴィラは55歳、ジュニアは25歳くらい、ケイトは23歳くらいでした。
ケイトは霊能力、ヒーリング能力があるとしてチラシを作って配り、一家が営んでいた宿屋で講演を行うなどして多くの人が訪れたと言います。
ジュニアはハンサムでしたが、意味もなく笑ってしまうことがありました。
ケイトは美人で、人気もあったそうです。
犯行の手口
かなり昔のことですし、彼らは結局逮捕されていないので詳しいことは分かっていません。
しかし、逃げ延びた人々や一家の不審な行動を目撃していた人々の証言などにより、推測はされています。
まずは、一家が営む宿屋の客を、床の隠し扉の上にあるテーブルへ案内します。
ケイトが話しかけるなどして客の注意を引き、後ろのカーテンに隠れてジョンかジュニアが近付くと、ハンマーで頭を殴りつけます。
その後、エルヴィラやケイトがトドメとして客の喉を切り、隠し扉から地下室へと遺体を落とすのです。
それから犠牲者は身ぐるみ剥がされ、敷地内に埋められました。
近辺では旅行者がよく行方不明になったので、この辺りを通らないようにする人もいたとか。
時代が時代なので、インディアンのせいにされたこともあったようです。
最終的な犠牲者の数は最低でも12人くらい、推測では20人以上とも言われています。
身ぐるみ剥がしていましたが、犠牲者は裕福な人よりも貧しい人の方が多かったとも言われ、金銭が目的ではなく快楽殺人だったようです。
今回のエピソードのモデルというだけあって、恐ろしい話です……。
一家の犯行が終わった理由
一家の犯行が明るみに出たというか、彼らが犯行をやめなければならなくなったきっかけは、とある親子の失踪でした。
その親子のかつての隣人だった医師、ウィリアム・ヨークが親子を探してこの辺りにやってきました。
しかし、彼も失踪してしまいます。
すると今度は、ウィリアムの兄、エド・ヨーク大佐が50人程を引き連れて弟の捜索にやってきたのです。
周辺の農家などにも聞き込みを行い、ベンダー一家が怪しいとにらみましたが、証拠がありません。
仕方なく一旦引き下がった大佐達。
彼らは町で会合を開きますが、その間に一家は逃げてしまいました。
その後、大佐達が敷地内を調べたところ、たくさんの遺体を発見することになったのです。
ベンダー一家については、大佐によって密かに処刑されたとか、逃げ延びた先でも殺人を犯したとか、色々言われているようです。
何にしても、ヨーク医師の隣人だった親子が失踪していなければ、ベンダー一家はもっと人を殺していたかもしれません。
ベンダー一家は、アメリカで最初のシリアルキラーとも言われています。
小ネタ
後に別の役で登場した俳優さん
ベンダー一家の娘として登場したアレクシア・ファストは、シーズン7でエマとして再登場しています。
エマはアマゾネスの娘たちの1人ですね。
ディーンとサムの名字について
実は、ディーン達が「ウィンチェスター」と名乗った時に「ライフルの?」と言及されるのはこのエピソードだけだそうです。
ウィンチェスターライフルはウィンチェスター社製のライフルで、日本でも聞いたことがある人は多いでしょう。
有名な幽霊屋敷、ウィンチェスター・ミステリー・ハウスもウィンチェスター社の社長夫人が霊媒師のアドバイスに従って工事を続けていた、として有名ですね。
後に登場する大昔のハンター、コルトと合わせて考えると、腕利きのハンターとして銃の製造会社から名前を取ったのかな、なんて思ってしまいます。
あらすじ
ネタバレが気になる方もいると思うので、たたんでおります。
ある男性が疾走するところを目撃していた少年に、ディーンとサムが話を聞きます。
少年は怪獣の鳴き声がしたと言いますが、母親はその時怪獣映画を見ていたせいだと言って取り合ってくれません。
ディーン達はバーに立ち寄りますが、そこでサムまで失踪し、焦るディーン。
ディーンは副保安官に刑事だと言って協力してもらい、サムを探し始めます。
一方、サムは気が付くと檻の中に入れられていました。
近くには別の檻に男性が。
どうにか逃げ出そうとするサムですが、相手が怪物ではなくただの人間だと知って驚きます。
サムを探すディーンは、副保安官に刑事ではないことがバレてしまい、ピンチに。
何とか説得して同行しますが、副保安官に手錠で車に繋がれて……。
感想
個人的な感想です。
興味がある方はどうぞ。
今回は普段の怪物退治とは違い、敵がただの人間です。
とは言え、ディーンもサムも人間が相手とは思っていませんから、かなり意表をつかれたのではないでしょうか。
特にディーンや副保安官は、一家の娘に騙されていましたよね。
彼女は、あの年齢で既に一家の思想に染まっていて、躊躇うことなくディーンにナイフを向けています。
ラストで保護されていたようですが、彼女はあの後社会復帰できたのだろうか、と考えると複雑な気持ちになります……。
同年代の友達もいなかったでしょうし、一般人とは価値観も何もかも違いすぎていて、苦労しそうですよね。
それはともかく、普通の人間相手に戦うことはあまりないので、割りと貴重なエピソードなのでは。
後になるとハンター同士での争いなんかはありましたが、こういう殺人犯との戦いみたいなのはないように思います。
ある意味、人を殺して楽しんでいるような一家は怪物と言ってもいい気はしますが。
日本の都市伝説なんかでも時々ありますが、本当に怖いのは人間だ、みたいな話でした。