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今回はゲーム・オブ・スローンズの魅力、特徴について語ります。
ネタバレは避けるよう気を付けていますが、神経質な方はご注意ください。
ゲーム・オブ・スローンズは、一大叙事詩とも言うべき壮大なファンタジードラマです。
舞台となるのはウェスタロス大陸。
その北部を治めているスターク家、ウェスタロスを治める王の妻サーセイの実家ラニスター家、狂王エイリスの忘れ形見デナーリス・ターガリエンがメインでストーリーが進んでいきます。
映画並の作り込み
中世ヨーロッパに近い時代のファンタジーがテーマとなるドラマですので、現代を思い起こさせるような景色、小物は全く出てきません。
ハリウッドでは時々、ファンタジー映画が作られ、話題になる作品も多いですが、ゲーム・オブ・スローンズはそれらに近いクオリティだと言えます。
とは言え、単純に剣と魔法のファンタジーというわけではありません。
この世界では、巨人やドラゴンがいたのはもう昔のこと。
特に巨人は、子供でもおとぎ話だと思っているような世界です。
魔法もほとんど出てきません。
その名残はあるものの、魔法使いもいません。
魔女は存在するようですが、あまり出てきません。
そんな世界ですが、王都にはりっぱな城があり、荘厳な雰囲気を漂わせています。
CGの背景も多いようですが、美しい景色が多く幻想的な雰囲気も感じます。
衣装も、キャラや世界観に合わせて作られています。
それぞれの名家の治めている地域の文化まで設定されているようで、服装や髪型などもそれに合わせた特徴を持っています。
ある程度その特徴を覚えれば、どこの人なのか何となく分かることも。
細かい作り込みによって、世界観に深みが出ています。
ウェスタロス北部の重要性
北部は人間ではない者たち、ホワイトウォーカーによるウェスタロスへの侵攻を食い止めるという意味で、とても重要な場所です。
ホワイトウォーカーは殺すことができず、人間よりずっと強い種族ですが、長く姿を見せていないため今ではその存在すら信じられていません。
それでも、ホワイトウォーカーのいる土地とウェスタロスを隔てる「壁」は、異民族からの侵攻を食い止める意味でも役に立っており、そこを守る役目を担うのはナイツウォッチと呼ばれる人々です。
彼らは妻子も土地も地位も栄光も、全てを捨てることを誓います。
そこは北部でもさらに北なので、夏の季節でも雪に覆われて非常に寒い土地です。
罪人でも志願してナイツウォッチになれば、投獄されることはありません。
ただし、ナイツウォッチは逃亡すれば死罪ですし、危険な仕事でもあります。
もし、壁の外から侵攻されるようなことがあれば、まず真っ先に兵を出すのは北部の諸侯たちでしょう。
スターク家を筆頭とする北部の諸侯たちの結びつきは非常に強いです。
気候的に厳しい土地だというのも、関係しているでしょう。
北部を治めているのはスターク家ですが、スターク家を敵に回せば北部全体を敵に回すことになります。
王都の人間からすれば、本来は敵に回したくないというか、大事にしておきたい存在ですよね。
一丸になられると厄介ですし、何よりホワイトウォーカーや野人達から王都を守るには、北部に食い止めてもらわなければならないのですから。
王都からでも兵は出せるでしょうが、知らせが来てから兵を出すまでに時間がかかります。
ファンタジー世界ですから、電話なんてありません。
通信は基本的に「使いガラス」を使います。
距離があれば、いくら鳥でも時間がかかるのは当たり前です。
そんな北部の重要性を頭の隅に置いて、本編を見てみるとサーセイの性格がより分かりやすくなるのではないでしょうか。
原作小説「氷と炎の歌」がある
私もまだ読んでいないのですが、ゲーム・オブ・スローンズには原作があります。
タイトルの「氷と炎の歌」の意味は、ドラマを見ていて何となく察することができます。
ドラマでは、原作でまだ書かれていないところまでストーリーが進んでいます。
日本のドラマだと、ドラマの脚本を書いている人が独自に創作することも多いですが、ゲーム・オブ・スローンズの場合は原作者と相談して決定したそうです。
これから先、原作では違う展開になったとしても、ドラマ本編のストーリーも作者が制作に携わっているので、「公式によるifストーリー」と見ることができるのです。
そういったことも関係しているのか、ドラマと小説では登場人物の設定でも違っている点があります。
詳しく書くとネタバレになってしまうので、また別の機会に……。
特に、スターク家当主の落とし子、ジョン・スノウの母親についての違いは、かなり気になるところかと思います。
ドラマを一通り見た後、原作を読んでみるのも良いのではないでしょうか。
ただ、ドラマが完結するのは2019年の予定ですので、待ちきれない人は先に読んでしまっても良いかと思います。
ドラマが完結した後に読み直せば、また新たな発見があるのではないでしょうか。
私も、何とか時間を作って読みたいところです。
ドスラク語、ヴァリリア語などのオリジナル言語
ゲーム・オブ・スローンズでは、異民族も多く登場しています。
元々の七王国の王だったターガリエン家のデナーリスは、海の向こうでドスラクという部族の王と結婚します。
そのドスラク人達が使っている言語、ドスラク語は、ゲーム・オブ・スローンズがドラマ化する時に、言語学者によって作られたオリジナルの言語です。
オリジナル言語は、このドスラク語だけでなく、ターガリエン家の故郷であるヴァレリアの言葉もです。
他にもいくつかの言語がありますが、セリフとして多く使われている言語では主にこの2つではないでしょうか。
ドラマのために、言語を作ってしまうというのは、日本のドラマではなかなか見られないかと思います。
ゲーム・オブ・スローンズには、原作の小説がありますので、その中で既に少しの単語などは登場しています。
ですから、ドスラク語を制作する時には、それを元にして作られています。
さらに、これらの言語を作る時に色々なことに留意しています。
・俳優達が演技をする際に支障のないよう、覚えやすく発音しやすいこと。
・原作の本文中で既に使われている言葉の使い方と矛盾がないこと。
1つ目は、俳優さん達が演じる時の負担を小さくする意味で、とても重要なことですよね。
発音が難しかったり覚えにくかったりしては、リテイクが増えて撮影時間も多くかかってしまいそうですし。
2つ目は、原作がある作品としてはできるだけ守ってもらいたい部分です。
こういった制約の中、新たな言語を作ったんですから、すごいですよね。
個人的なオススメポイント
個人的には、シーズン6での騎馬戦のシーンの迫力が凄まじかったので、是非見ていただきたいところです。
実際に騎兵と歩兵が入り混じって戦ったら、こんな感じなのかなと思って見ていました。
歩兵同士が剣で戦っている時でも、馬が突っ込んでくるシーンなどは、見ていて恐怖も感じます。
そもそも、戦っている場面というのは怖いものですから、当然かもしれません。
命のやり取りをしているわけですからね。
相手を斬れば血が出るのも当たり前で、返り血だって浴びて当然です。
舗装された地面ではないので、土で汚れてドロドロにならない方がおかしいですし。
綺麗なままで戦っているのは、リアリティがないとも言えます。
ファンタジーなんだから、リアリティなんていらないという方もいるかもしれませんが、私はファンタジーだからこそリアリティが必要なのではと思っています。
全てが完全にリアリティのない状態では、ただの空想のお話です。
リアリティがあるからこそ、登場人物達を身近に感じてその世界に入り込み、作品を深く楽しめるのではないでしょうか。
ただ、ここで言っているような血なまぐさいシーンも多いですから、流血が苦手な方はご注意を。
正直、登場人物達の行動は時々、「何故そこでそんなことをしてしまうのか」と言いたくなる時もあります。
その時の彼らの状況、心情を想像し、その理由を考えてみるのも、また1つの楽しみ方と言えます。
ファンタジーが好きな方には、オススメしたいドラマです。